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04 04
インタビュー
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専務理事(事務局)
堀 敦博
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異業種から油脂業界へ。
変革期の全油連に対してできること

専務理事
(事務局)

堀 敦博

INTERVIEW インタビュー

コンサルタント業界から全油連へ

 私が全油連の専務理事および事務局長に就任してから、今年で4年目になります。それ以前は、環境ビジネスのコンサルタント職に従事しており、現副会長の𠮷岡さんが代表を務める𠮷岡製油(有)のコンサルタントを行っておりました。それがきっかけとなって、油脂業界に接点を持つようになり、その後、全油連で専務理事の後任者を探しているという話があがったことから、縁があって現職に任命されました。
 当時の全油連は、組合員からの賦課金が主な財源でした。そのため、年に1回開催している研修会も予算内に収めることができず、不足分を組合員からさらに徴収するような場面も見られ、金銭的に恵まれているとは言い難い状況でした。
 また、当時の具体的な活動内容は分かりづらく、活動実態が不明確な組織であるという印象がありました。外部だけではなく、組合員からもそのような声があがることもあったようです。全油連の役割の一つとして、組合員のために国への提言を行うというものがありますが、当時はその辺りがうまく機能していないようでした。私は、これらの課題を解決させるために、財政面を整えること、および活動内容を明確化することの2点に焦点を当てて、体制整備に取組んでまいりました。

専務理事就任3年間の成果

 コンサルタント業界出身の私が専務理事となり1年目は、収支を整理するという基本的なことから始めました。その結果、収支のバランスが悪い状態であることが分かったため、収入を増やすためにどのような事業の実現が可能で、どの程度の予算が必要なのかと検討いたしました。
 2年目は、実際に厚生労働省や財団法人など、各所に掛け合い予算獲得に奔走しました。そして、ようやく3年目から本格的に事業をスタートさせることができ、それが、昨年から始めた受託事業です。現在全油連では、「廃食油の日本農林規格化に向けた品質等の調査事業」を始め、3つの受託事業を行っています。これにより、ようやく賦課金以外の収入源を作ることができました。
 全油連は元々、業界関係者で運営している組織でしたが、私のようなコンサルタントの経歴を持つ外部の人間が専務理事を担うことで、客観的な視点が入り、結果、景気づけにはなれたのではないか。そう自負しています。この3年間で、SDGsが世間的にも着目されるようになり、業界の潮目が大きく変わったと感じます。全油連としても、今後はさらに大事な時期になっていくと思います。そうした意味でも、今年から開始した受託事業を、いかに成功させ継続させるかは、非常に重要な課題だと感じています。

事務局が組合員に対して貢献できること

 事務局としては、組合員の皆様から提案された事柄に対して、適切にサポートができる体制を整えてまいります。具体的には、提案の実現に向けて、国への提言を行うことや必要な予算をきちんと獲得すること、そして組合員の皆様同士の話し合いの場の提供をすることを、今後も最適化を図りながら継続していきたいと考えています。
 また、近年、油脂業界の平均年齢が上昇し、世代交代を目前に控える企業が多く出てきました。事業継承の面で問題を抱えている企業については、全油連のネットワークを活用してサポートを提供していく予定です。必要に応じて次世代教育に関するアドバイスも行っていきたいと考えています。
 油脂業界は、非常に社会性が高く、特に今の時代には無くてはならないものです。しかし、残念ながら業界内であっても、その認識があまり高くないという現状があります。私は、このような業界の意識を変えていく鍵は、全油連の研修を通じた普及活動や啓蒙活動にあるのではないかと思います。全油連の研修会等に参加された皆様には、そこで得たものをぜひ自社に持ち帰って活用していただきたいと願っています。
 私の目からは、長らく全油連は本来の力を発揮できていなかったように見えていました。今後はこのような活動を通して、より良い油脂業界に発展していけるよう、事務局としても尽力していく所存です。

       

(取材:2021年11月10日)