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04 04
インタビュー
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理事(北海道組合)
前田 慎一
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全油連から「札幌モデル」を
全国へ展開するために

理事
(北海道組合)

前田 慎一

INTERVIEW インタビュー

全国民が関係する組合だという自覚を持つべき

私は業界への参入時期としては後発組であり、全油連に加盟してまだ間もないですが、全油連という団体に対してとても大きな存在意義を感じています。さまざまな業種において組合組織がありますが、その中でも全油連は国民全員が広く関係を持つ組合だと考えているからです。なぜなら、レストランや居酒屋で外食をしても、コンビニで弁当やスナック菓子を買っても、また家庭で食事をしても、油は必ずといってよいほど使われています。そういう意味では、実は国民の生活の大きな下支えをしている業界であり、組合と言えるのではないでしょうか。
私たちの仕事は、廃食用油という大きな可能性を秘めた物質を扱っているのであり、有効活用すればエネルギーとして非常に期待できるものでもあります。しかし、一般的な認知としては単なる「廃棄されるべき油」であり、どのように活用されているかはあまり知られていません。「実は自分にも関係があるもの」として私たちの事業を見ている方は少ないでしょう。だからこそ、全油連としてUCオイルがこれだけ私たちの生活と密接に関わっているものであることをアピールしていくべきではないでしょうか。今後は広報活動を通してどんどん認知度を上げていくことも必要だと思います。

「札幌モデル」はこれからさらに加速する

今から約20年前、当社が廃油業界に参入した頃は、時代的に廃食用油がまだ注目されておらず、ほとんどの事業者が家庭から廃棄される油に手をつけていない状態でした。そこで当社は札幌において、2006年から民間事業者2社と連携して、一般家庭に由来する廃食用油の回収を開始しました。市内7か所に回収拠点で設置したところからスタートし、現在ではスーパーマーケットや市役所、まちづくりセンター、体育館、プール、公園などに専用の回収 BOX を設置するまでに拡大しています。2020年度末時点で、札幌市内の回収拠点は 368 か所(うち公共施設約200か所)となり、年間およそ243KLを回収しています。
こうした取り組みは、業界では「札幌モデル」と呼ばれ、成功例として周知されるようになりましたが、私はいまだ積極的に廃食用油を持ち寄る人は2〜3割だと予測しています。そして、この取り組みを続けることでさらに回収量は増えるとも考えています。つまり、家庭から回収できる量はいまだ未知数ということ。全油連として、これを一つのモデルケースとして他の地域に横展開していくことが重要で、そのためには地方自治体をはじめ、国にいかに協力してもらうかが一つのポイントになります。積極的に国へ協力を働きかけていくことも全油連の大きな役割となるでしょう。

廃油に関する要請を国にできるのは全油連だけ

廃油処理は水質汚染につながることから、国としての問題でもあることはあまり知られていません。国内食用油の年間消費量の約234万トンのうち、私たちが回収できているのは数十万トンです。では、残りはすべて私たちが食べ切っているかというと、そうではないことは明白です。回収BOXに持っていくか、布などに吸わせて燃えるゴミに出してくれればよいですが、万が一にも台所から流されると、下水の中間処理施設にダメージを与える最大の原因になります。こうした問題を回避し、下水処理場を維持するのにも国は税金を投入しているのです。また、未分解の有機物は腐敗・発酵の中で硫化水素などを発生させ、下水管を腐らせることもあります。下水道は札幌だけでも8500kmもあり、これを補修するのも税金で、そうしたコストは未来の子どもたちが全負担しなければなりません。
インフラ整備の信頼性は全国各地で担保されなければならず、地方自治体のみならず国として支えるべき問題です。見て見ぬふりをしてしまえば、いずれ私たち自身の首を絞める問題に発展していくでしょう。「札幌モデル」が成功したのも行政との連携があったからこそであり、廃油にまつわる諸問題の解決には国の協力は欠かせません。また、国と連携していくためには、全油連全体が社会的信用を得られるようにそれぞれの企業がクリーンかつ公正な事業を展開することも大切です。その真摯な姿勢が、全油連という組織をもう一回り、二回り大きくしていくのだと信じています。

       

(取材:2021年11月10日)