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インタビュー
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会長
髙橋 康寿
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心で動いてこそ、応援してもらえる――
この先の10年で「UCオイルといえば全油連」を目指す

会長

髙橋 康寿

INTERVIEW インタビュー

私の役目は「日本ベルト化構想」を実現させること

 私が全油連の会長に就任したのは、2016年になります。当時はまだ3つの組合が加入するのみで数も少なく、連合会と呼ぶには時期尚早にも思えるような状態で、当面は組合数を増やすことが私にとっての課題でした。
 そこで掲げたのが、北は北海道から南は沖縄まで、全国の各エリアに11組合を立ち上げることを目標にした「日本ベルト化構想」です。これを成し遂げてこそ、名実ともに全国区の連合会として組織的に機能し、業界に寄与できるはず。そう信じて進み続けた結果、現在は組合数が6つと拡大し、着実に知名度も上がってきていることを実感しています。ですが、この度の新型コロナ禍により、組織的な活動をストップせざるを得なくなり、ただ足踏みする日々はとても辛いものでした。
 私は基本的に、全油連として人や組織に会いに行く時は一人で行くと決めています。そのほうが相手の目を見て、心と心の話し合いができるからです。また、私の言葉を直接届けることができるので、誤解なく真意を伝えられるというメリットもあります。これまでそうして組織拡大を進めてきたものの、それが約2年間も停止状態だったというわけです。
 しかし、ここへ来てようやく新型コロナの勢いが落ち着きつつあります。今は、活動できなかった期間を一つの試練として捉え、これを乗り越えた時に初めて全油連が油脂業界のみならず、全国的に注目を浴びるような団体になることができると前向きに考えています。

組合員の健全経営や、国の食料自給率を守りたい

 一方で、私は組合員すべての健全経営を目指すことも全油連の役割だと思っています。油脂業界の健全化のための意見交換や、人材育成のために研修を催すことはもちろん、UCオイルの価格の安定化も重要な課題だと捉えています。全油連は、農水大臣の認可団体であることからもわかるように、当初はUCオイルを主に国内の鶏の飼料へとリサイクルする活動としてスタートしました。しかし、近年は再生可能エネルギー原料として、UCオイルは海外への輸出量が増えているのも事実です。
 そして、このまま輸出が増加すると、UCオイルの価格に影響を及ぼす危険性があります。例えば、UCオイルの価格が高騰してくると、当然ですが飼料の価格にも影響を与え、日本の養鶏農家にもダメージを与えてしまうことは間違いありません。さらに最悪のケースを考えると、養鶏での生計が立てられなくなり、日本の国産の鶏の生産量が減少する事態にもなりかねない危険性をはらんでいます。つまり、我々油脂業界の動向によっては、養鶏農家などにも波紋が広がるという意識を持つことは非常に大切です。こうした日本の食料自給率にもつながる問題は国が解決することではありますが、単に人任せにすることなく、しっかりと警鐘を鳴らしていくことも全油連が担うべき責務だと感じています。

組合員を増員すればこそ「物言える団体」になれる

 全油連はこの20年で徐々にではありますが、一歩ずつ堅実に成長してきました。また組合数の増大によって人材も充実し、連合会として少なからず経験値も蓄積してきたと自負しています。しかし、今以上に国に対してUCオイルの利活用を訴えかけ、より健全な業界を作り上げるために働きかけられる組織になるには、さらなる「数の力」が必要です。
 これは数に物を言わせるということではなく、大きな声をあげるために影響力を持つということです。油脂業界を守るためにも「物言える団体」になることが非常に重要になります。だからこそ、さまざまな団体や省庁との連携を大切にしていくべきなのです。
 私は何よりも心で動くことを基本にしています。各所と心の付き合いをしていくからこそ、応援してもらえる組織になれると信じています。業界関係者はもちろんのこと、世間からも応援される存在になれれば、国は必ずや主張に耳を傾けてくれるでしょう。
 そうして存在感を増していけば、必ず「UCオイル(廃食用油)といえば全油連」と誰もが認める団体になれるはずです。これからの10年はそうした組織になれるよう、全油連はより一層一丸となって進み続けてまいります。

(取材:2021年11月10日)